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市民公開講座 高齢者の不眠を考える〜その予防と対処法〜

眠れないのは年のせい?~高齢者にありがちな生活習慣からくる不眠の話~
国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所
三島和夫先生

それでもやはり不眠かも? とお悩みの方へ質問です

高齢の方から途中で目が覚めてしまう、という訴えをよく耳にします。目覚めてしまうから「不眠症」というわけではありません。しかし、“日中もだるい、眠い”と感じていて、夜中にもう少しぐっすり眠りたいと思われているとしたら、ぜひチェックしましょう。
高齢の方が陥りがちな睡眠にはよくない生活習慣をしているかもしれません。

1.寝床に入る時刻が早すぎませんか?⇒ 寝つけない?十分な眠気がたまっていないのかもしれません。 2.寝床にいる時間が長すぎませんか?⇒ ベッドに長くいすぎると不眠が悪化します。

[ 年齢別就床時間・実質睡眠時間 ]

上の図は、年代別で寝床にいる時間帯とその合計時間、実質の睡眠時間を示したグラフです。左のグラフのとおり年齢が上がると寝床に入る時刻が早くなっていっており、70代になると夜9時には寝床に入っています。そのぶん朝も早くベッドから出ているかというと、他の年代とそれほどかわらない6時頃までになっています。
右のグラフのとおり、高齢になると寝床にいる合計時間は長いものの、折れ線グラフの実質睡眠時間を見ると6時間程度しか眠れていないことがわかります。ということは3時間くらい寝床の中で目を覚ましているのです。年齢とともに実質睡眠時間は短縮しているのに寝床にいる時間は逆に延長し、寝床で目を覚ましている時間が延長しているということです。

寝床に入る時刻が早すぎると十分な眠気を溜め込んでいないため寝付けなかったり、いったん寝付いてもすぐに目が覚めたりしてしまいます。また、寝床に入って寝付けない時間が長いと、苦しくなり、寝床に対する恐怖が沸いてきます。その体験が不眠をさらに悪化させるということにつながるのです。

【“ちょい遅寝、ちょい早起き”が効果的!】

もし、寝つけないと感じているのであれば、思い切って1時間か1時間半くらい、寝床に入るのを遅くすることもよい眠りをとるためのポイントになります。

寝床にいる時間が長すぎて不眠の悩みを抱えている方に、睡眠時間制限療法という方法をご紹介します。以下に示すような方法で「ちょい遅寝、ちょい早起き」を行うことで、まんじりともせず寝床で過ごす時間は短めになり、熟眠感を得られるとともに寝床への不安感が軽減されます。

睡眠時間制限療法|
1.睡眠日記をつけて“正味眠れる時間”を計算する。(例:6時間)
2.寝床にいる時間を上記+15分に制限する。(例:6時間15分)
3.朝起きなくてはならない時刻から逆算して寝床につく。
4.床上時間の90%以上眠れたら15分間延長する。
5.床上時間の85%以下なら短縮する。
6.日中は眠くなっても昼寝をしない。

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